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保護主義に対する誤解

現在の自由貿易礼賛の世の中で、保護主義は嫌われていますが、保護主義とは本当にダメな政策なのでしょうか。

ケインズと同時代人だった経済学者のカール·ポランニーは、十九世紀末からヨーロッパで起きた保護主義というのは、当時進んでいた経済のグローバル化への対抗運動だったと説明します。当時ヨーロッパでは、貿易や国境を越えた投資の拡大によって各国の農業は急速に衰退し、激しい国際競争や移民の増大によって労働者の賃金は不安定になりました。人間は、こうした不安定な生活に耐えられることができません。そこで協同組合運動や労働運動が盛んに展開されるようになり、関税の引き上げや、競争の抑制、また移民の国家管理が実現されるようになりました。

保護主義は、行きすぎたグローバル化に対する「社会の事故防衛」であり、剥き出しの資本主義から文字通り社会を保護する運動であり思想でした。そのように理解すれば、保護主義というのは、鎖国することではなく、時代の流れに逆らうことでもなく、グローバル化した経済の極端な変動から社会を守るための、きわめて穏当な思想だということが言えます。危険で野蛮なのは保護主義ではなく、それに先行するグローバリズムの方でしょう。

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  • Author:tsukiji-okami