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大和屋助五郎の登場(その2)

大和屋助五郎は、「活鯛」(いけたい)という新しい技術を開発して、日本橋魚河岸に進出してきます。

中沢新一先生です。

「江戸城に白魚を納めて、羽振りのよい森一族は、釣り上げた鯛を新鮮なうちにお城に届ける、「鮮鯛」のやり方をとっていた。しかし、助五郎はこれに「活鯛」で対抗しようとしたのである。森一族のは新鮮とは言ってもしょせん死んだ鯛だが、自分のは生きたままの鯛である。新鮮より活鯛のほうが、よいにきまっているではないか。

助五郎が開発してした活鯛の流通システムでは、「活船」という、特殊な船が使われた。船の中央に竹で囲った生簀(いけす)を置き、ここへ竹の針を脊髄に刺して気泡を破る「針する」の技術をほどこした鯛を、泳がせておくのである。鯛は深海に生息する魚なので、こうしておけば水圧の減少に耐えて、生簀の中で長時間生きている。この生簀に、大小とりまぜて、二千~三千枚の鯛を活かして入れておく。このシステムの成功の秘訣は、「針する」技術の採用にあった。

どういうやり方で、お城に取り入ったかは不明であるが、大和屋を名乗る助五郎は、あれよあれよという間に、活鯛をお城に納める御用商人への割り込みに成功した。とうぜんのことながら、森一族系の問屋たちとの間に、張り詰めた緊張が走った。」

 

 

 

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  • Author:tsukiji-okami