お知らせ

オリンピツク・パラリンピック組織委員会へ要請行動

築地女将さん会は、本日オリンピツク・パラリンピック組織委員会への申し入れを行い、以下の要請書をお渡ししました。

 

2017年11月28日

公益財団法人

東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会
会長 森喜朗 殿

要 請 書
 私たち築地女将さん会は「みんなの築地」を合言葉に、築地市場の移転の中止を求めて立ち上げた集まりです。2020年オリンピック・パラリンピック東京大会の準備でお忙しいことと存じますが、お手間をお取り頂きありがとうございます。
さて、本日伺いましたのは他でもありません。このようなことを申し上げるのは大変に心苦しいのですが、貴委員会・東京都が進める築地市場を解体して更地にし、東京2020大会の駐車場(輸送拠点)にするという計画と、同大会での使用に環状2号線を間に合わせるという計画とについて、私たち築地市場の関係者が大変に迷惑をしていることをお伝えに参りました。これらの計画については、以下の理由から是非とも変更をお願い致したく存じます。
  第一番目は、東京都の進める築地市場の移転計画はその実現性が確実とは言えないということです。
 貴委員会もご承知と存じますが、築地市場の移転先とされる豊洲市場の土壌汚染問題は、当初から私たちとの約束だった「無害化」(東京ガス操業由来の汚染物質は全て環境基準以下にする)「盛り土」「地下水管理」が、いずれも反故にされるということになっております。これに対する市場関係者の怒りは大変に大きく、私たちが本年2月に集めた『豊洲新市場への移転計画の中止を求める請願署名』には、築地市場水産部・仲卸553業者中(2月1日現在)393筆、7割を超える事業者の皆さんが応じて下さいました。東京都は「追加対策」を講じるとしておりますが、関係者の多くは全く納得をしておらず解決には程遠いというのが現状です。
 また、築地市場の移転には卸売市場法に基づく農林水産大臣の認可が必要となりますが、これにつきましては平成19年には閣議決定された政府答弁書も出ております。それによれば「政府としても、中央卸売市場の移転や運営について、市場関係者や消費者の理解等を得ることは重要であると認識している」「築地市場の移転については、食品流通の重要な基盤である卸売市場の問題であることから、農林水産省より、築地市場の移転を計画している東京都に対し、食の安全性や信頼が確保されるよう科学的見地に基づく万全な対策を講じるとともに、消費者等に対して対策の内容等について十分な説明を行い、その理解を得るよう求めている」というものです。これについては昨年10月3日の衆議院予算委員会の場で、安倍総理大臣より現政府も同様の方針であることが確認されました。
 関係者に対して十分な説明もできず理解も得られていない現状に鑑みれば、農林水産大臣が移転の認可をできる状況でないのは明らかではないでしょうか。
 第二番目は、環状2号線の工事については、築地市場関係者との約束があるということです。
都市計画事業『都市計画道路・環状2号線』は、当初は築地市場の地下を通る道路として計画されておりました。しかし築地市場の移転を東京都中央卸売市場が決定したのを受けて、橋梁を通って現・築地市場の地上部から地下トンネルへと繋がる形に計画変更され国土交通大臣から事業認可を受けた経緯があります。ところがご承知のように、築地市場の移転先とされる豊洲市場用地で環境基準の43,000倍のベンゼンが検出されるなど、土壌汚染問題が再燃しました。本来ならばここで再度の計画変更がされるべきでしたが、それがされずに放置され、結果として築地市場と環状2号線がぶつかり合うことになったのです。そこで築地市場では、卸売市場法に基づく築地市場取引業務運営協議会内に「築地市場環状2号線工事調整委員会」を設置して環状2号線工事との調整が図られることとなり、築地市場の敷地内で行われる橋脚工事・仮設迂回路などの建設に私たちは協力をしてきたというのが、事の次第です。
 さてしかし、私たち築地市場の関係者が環状2号線の工事に協力するにあたって、とても大切な約束がありました。それは「環状2号線の工事によって、卸売市場の業務に支障をきたしてはならない」というものです。私たち築地市場の事業者には、生産者からお預かりした生鮮食料品を消費者に間違いなく届けるという責務があります。したがいまして、卸売市場の業務に支障をきたすというのは、これはあってはならないことなのです。とうぜん、環状2号線のために築地市場の事情を無視して立ち退かせることなどできません。これについては都市計画事業を所管する国土交通省も認めるところです。
 一部には「築地市場が移転しないから環状2号線が間に合わない」旨の報道がありますが、環状2号線工事のために冷蔵庫棟二つを取り壊し(中の荷を全て移動するには大変な労力がかかります)、狭い動線を工夫しながら協力をしてきた私たちとしては、これは大変に心外なことだと言わねばなりません。環状2号線が間に合わないとすればそれは私たちの責任ではないからです。問題が山積し、場合によっては移転自体が宙に浮く可能性があることを承知で見切り発車をした環状2号線の事業主体、東京都建設局の責任こそ問われて然るべきなのではないでしょうか。
 貴委員会におかれましては、環状2号線についてこのような事情があることを、ご承知おき頂きたく存じます。
 以上、2点について申し上げましたが、先般も豊洲市場の開場日を決める重要な会議、新市場建設協議会が流会となりました。そもそも東京都が正式に「移転時期の調整」を業界に依頼したのは本年10月16日でした。そしてその内容とは、月内に移転時期を来年9月か10月で決めてほしいという拙速にすぎるものなのです。なぜそれほど急いでいるのかも新市場建設協議会の資料には書かれており、「移転後、10月から築地市場の解体工事に着手し、オリンピック・パラリンピック大会の運営に必要な環状2号線地上部道路や輸送拠点の整備についても、支障なく対応できること」だというのです。申し上げましたように、私たち築地市場の関係者はとても移転時期について決める状況にはなっておりません。こうしている間にも、下がる約束の豊洲市場の地下水位は上がり続けており、モニタリング汚染濃度も環境基準の120倍を超えました。物流や交通アクセスなど施設にも問題は山積しております。こうした中で、オリンピックを口実に移転日程の決定を急かされるというのが大変に迷惑だという私たちの気持ちは、貴委員会にもご理解頂けるのではないでしょうか。私たちの現状認識としては、これはもう間に合うとか間に合わないという以前の状態というほかはありません。
 私たちは、できることならば2020年東京オリンピック・パラリンピック大会が大成功となることを願っております。協力できることがあれば、これまで通り、協力することもやぶさかではありません。しかし、これまでの東京都の仕打ちはあまりに過ぎるものです。そしてこのまま無理な計画を推し進めるようなことがあれば、大変な混乱を招くことになります。そのような事態になることは、築地市場のためにならないことはもちろん、2020年東京オリンピック・パラリンピック大会のためにもならないものと思い至り、本日の要請となりました。なにぶん、不躾なお願いとなりますが、ご理解承れますようお願い申し上げます。
 なお、最後に蛇足を付け加えさせて頂けば、私たち築地女将さん会は私たちの築地市場を誇りに思っております。私たちは、この築地市場を先人から受け継ぎましたが、適切な施設の配置は圧倒的な物流効率性を誇り、扇型にカーブを描くアーチの美しい意匠は今も世界からの観光客を魅了してやみません。私たちは、少なくともあと100年、築地市場がこの国の生鮮食品流通を支えるものと確信をしております。ぜひとも、2020年東京オリンピック・パラリンピック開催の折には、この築地市場で世界のお客様をお迎え出来るよう、重ねてお願い申し上げる次第です。

要請項目
1.築地市場を早期に移転し、取り壊して2020年東京オリンピック・パラリンピック大会の輸送拠点とする計画を見直すこと。
2.環状2号線についても築地市場の関係者との約束に鑑み、卸売市場の業務に支障を来す可能性のある工事計画については、移転問題の解決までは行わないよう、貴委員会より東京都に勧告をすること。

以上

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  • Author:tsukiji-okami