冬至とクリスマス祭
ヨーロッパのクリスマス祭は、ミトラ教等の古代の祭がベースになっています。
古代では、太陽の力が一年のうちでもっとも弱くなる冬至をはさんだ季節は、もっとも危険な時期でした。この時期、昼間の時間が極端に短く、夜の時間が極端に長くなります。昼と夜のバランスが崩れるこの季節には、生者と死者のバランスも崩れて、死者たちが生者の世界に侵入してきます。
それを回避するため、古代の冬至祭では、死者に扮した仮面を被った異形のものたちが街を歩き回ります。そこで、人々はこの異形のものたちに贈り物を与えてご機嫌をとり、お引き取りいただくことによって、再び世界のバランスを回復してきました。
そこから、古代では不安定な時期を乗り越えるために、盛大なお祭りが繰り広げられ、贈り物を交換しあいました。サンタクロースが子供に贈り物を持ってきてくれるのも、その一環です。
そこに目をつけたのが、近代の資本主義でした。「冬は贈り物の季節」という感覚に手が加えられ、クリスマスは盛大な商戦の繰り広げられる季節へと変貌したのです。