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仲卸しと境界線

中沢新一先生によれば、ヨーロッパの近代を作ってきた根本的な思想は、「自然と文化を大分割する」事だそうです。ヨーロッパでは、17世紀くらいから自然と文化を分割して強固な境界線を作っていく方向に文明全体が向かって行きました。これは、言葉と論理によって自然を征服したいという欲求によって行われました。それに対し、日本では「自然と文化を分割しない」、自然と文化が重なりあうインターフェース(境界)の空間を重視してきたそうです。境界線では、外側のものが内側に入り込み、内側のものが外に出て行ったり行ったり来たりが実現されるようになります。ヨーロッパにとっての自然とは、人間の外にある対象物ですが、日本では自分自身が、自然の一部であるという自然を対象化しない方向をとってきました。

仲卸しの仕事は、自然と文化の境界線にあるものです。自然の中の魚を、食文化の中(食卓に届く)の魚に変えていく中間機構の仕事です。ヨーロッパ的な発想では、必要ない仕事に見えるかもしれませんが、日本人がいままで培ってきた文化や歴史を振り返ればまた違う可能性が見えてくるのではないでしょうか。

 

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  • Author:tsukiji-okami